とても静かな場所に住んでいる。
物音ひとつしない死んだような町。
何もおこらない。
交わす言葉もない朝焼けのなか車の排気音だけが聞こえる。
どんなに叫んでも届かない。誠実であろうとしているだけなのに。
明るい通りには正体不明の埃が舞って100メートル先も見えない。
テレビのコメンテーターは和やかに、いけないことだと叫んでる。
何もおしえてくれない。変わることのない日常。
泣きながら眠る夜。
なにが欲しかったのかも覚えていない。
眠い目をこすってみると高台の家は朝日を浴びて輝いている。いつかあんな家に住んでやろうなんて企んでいる。
仕事の時間だけど考えることはその夜の過ごし方。
子供の頃は今よりは自由だった。約束どおりに事は進んだし泣きごと言っても許された。
犬たちは吠えている。わかっているんだ、これから何が始まるのかが。
今夜はサイレンの音が聞こえてこないでほしい。